仮想空間〝アマギリの森〟でユウは噂の〝夢喰い〟に出会う。逃げ出そうとするも何故かログアウト出来ない。ユウは喰われてしまうのか?
ショタ×ショタの獣八禁です。
アマギリの森に夢喰いワームが出るらしい。
最近、ネットワークの中をそんな噂が駆け巡っているようだ。全く、バカらしい。どうせ、いつの時代でも良くある都市伝説の類だろう。なぜそんな噂を好き好んで広めようとするのか僕には理解できない。
気に食わないのは〝夢喰い〟ってところだ。そもそも、僕には夢なんて何もない。喰える物なら、喰って見ろって感じだ。今日も学校、明日も学校、その次は休み。何も起こらない日常。誰にも相手にされない日々。どうせ僕は不要な人間なんだ……
僕は憂鬱な気分で何時ものVRルームへと足を向ける。VRルームに入ると、強烈な芳香剤の匂いが鼻についた。それにしてもこの店は、イヌ族をバカにしているのだろうか? まあ、店長が嗅覚の劣るネコ族だから仕方がないのかもしれないが、もう少し配慮して欲しいところだ。
「いらっしゃいませ。会員カードはお持ちでしょうか?」
ぎこちない笑顔で応じる店員に僕は無言で会員カードを差し出した。
「ええっと、ユウ様ですね」
ネームプレートを見ると、研修中と書いてある。年は僕より五歳は年上に見える。慣れないながらも必死に料金プランを説明する店員さんを見ていると、なんだか申し訳なく感じてしまう。僕なんかに丁寧にする必要なんてないのに。
三時間パックを予約して、足早にVRルームへ向かった。VRルームというのは、仮想空間にアクセスするための端末が備え付けられた個室である。昔のアニメでは、ケーブルを首筋に繋いでいるシーンが良くあったが、今はベッドに寝転べばそれだけで仮想空間へとアクセスできてしまう。偉い人は子供が仮想空間に入り浸ると、成長に影響があるとか言っているみたいだが、将来なんてどうでもいい。
仮想空間に飛び込んだ僕は、〝アマギリの森〟へアクセスし、ログインした。〝アマギリの森〟は仮想の生き物を創造して、自分の好きなように育てることができる最近話題の会員制サイトである。
僕は〝アマギリの森〟にある自分の小屋の前に降り立つ。仮想空間とはいっても、自分の見た目は現実世界と全く同じで、五感も完璧だ。何も知らない人が放り込まれれば、現実世界と勘違いしてしまうだろう。中には、仮想空間では現実と違う姿を好む人もいるようだが、感覚がおかしくなるので僕はあんまり好きじゃない。
「おーい! 飯だよー」
僕の声を聞きつけて、羽の生えたヘビと虹色の毛を持つネコ達が集まって来た。どちらも僕が遺伝子情報を弄って創造した新種の動物だ。特に、ヘビのほうはお気に入りで、アステカの神様にちなんで、〝コアトル〟と名付けてある。ネコのほうは体毛の色を変えただけなので、まだ物足りない。色がオウムに似ているので、しゃべれるようにしてやろうか?
実際のヘビが何を食べるのか良く知らないが、こいつらはどちらも草を食べれるように設計したので、自分で育てた植物で事足りる。その植物も、僕が自分で創った。自信作は風が吹くと葉っぱが擦れて、人がぼそぼそとつぶやくような音を出す〝ササヤキソウ〟と花びらに水をためて虫をおびき寄せ、いっぱいになったところで、花びらを引っ繰り返して消化液に落とす〝シシオドシソウ〟だ。
食事を終えたネコが僕の尻尾にじゃれ付いてくる。僕は尻尾をひょいと上に持ち上げ、捕まえようと飛び跳ねるネコを眺めた。最初は僕がいないと生きていけないこいつ等が愛おしくて、毎日ログインしていたけど、所詮は仮想上の生き物だ。最近、なんだか空しく感じることもある。皆は自分で作った動植物を交換して楽しんでいるみたいだけど、友達のいない僕には無理だ。
(僕は、ネット上でも居場所を見つけられないのかな……)
僕はため息をつきながら、花たちに水をやるため、近くの泉に向かう。気分が落ち込んでるせいか、普段よりも木々が深く生い茂り、暗く沈んでいるように感じる。泉の周辺もなんだか陰鬱な雰囲気だ。僕はバケツに水を汲んで、小屋に戻ろうとした。
(あれ、道が……無い?)
振り返ると、今来たはずの道が消えていた。道があったところには、樹齢数十年はあろうかという立派な木が生えている。僕は自分の勘違いかと思って、泉の周りを一周したけど、道らしきものは全く無い。けもの道でさえも。
(これって、やっぱりバグかなぁ)
僕は仕方なく、環境フレームを立ち上げる。僕は普段、情報フレームや警告表示はオフにしている。自分が仮想空間にいることを思い出すからだ。でも、この状況では仕方が無い。そう、所詮ここは仮想空間。現実世界と違って、何が起こってもおかしくない。まあ、環境フレームをみれば何とかなるだろう。しかし、僕の予想は大きく外れた。
(えっ、ここは……何処なの? ログが全部消えてる……)
普通のバグなら、自分のアクセスログが全て消えるなんてことはまず無いはずだ。そもそも、保安上の理由でログは消せないように厳重に保護されているはず。僕はコマンドを操作して小屋に戻る方法がないか探し始めた。
――ブワッ!
「わっ!」
突然、生暖かい風が僕の耳を撫で、思わず悲鳴を上げてしまった。周囲を見渡すと、僕の直ぐ横にいつの間にか一軒の丸太小屋ができている。全く、意味が分からない。今日はもう帰ったほうがいいのだろうか? 後で、サイトに文句を言っておかないと。
僕がクレームをどうつけようか考えていたとき、唐突に肩を掴まれた。全身の毛がブワッと逆立つ。
「わっ! なにっ!」
肩の手を振り払い、後ろに振り返る。そこには僕と同じ位の背格好をしたネコ族の少年がいた。中性的な顔つきをしているが、短パン、Tシャツという格好を見る限り、多分男の子だろう。全身、綺麗な黒い毛で覆われている。その少年は長い毛に覆われた尻尾をゆらゆらと揺らし、笑顔で僕を見る。
「きみは……だれ?」
少年は何も答えない。
「ねえ、きみもここから出られないの?」
黙りこくったまま、僕を見つめる少年。なんだか、気味が悪い……。
僕が再度質問しようとしたとき、ようやく少年が答えた。
「あれ、分からない? 最近、僕のことが噂になっているみたいだけど」
少年の笑みが消え、口から鋭い牙を覗かせる。噂というのは、やっぱりあのことだろうか? 僕は警戒しながら聞いて見る。いつでも逃げ出せるように身構えて。
「もしかして……〝夢喰いワーム〟?」
運動にはあまり自信は無いが、仮想空間なら何とかなるはずだ。いざとなれば、ネットから強制切断すれば良い。
「そう。僕が通称〝夢喰いワーム〟。本当はヤミウツツっていう名前があるんだけどね」
少年がきゅっと目を細める。
「本当にいたんだ……。それで、そのワームが僕に何の用?」
目の前の少年は再度沈黙する。
「ねえ、僕の質問に答えてよ! 大体、きみは夢を喰うんでしょ? 僕には食べれる夢なんて何も無いよ! 何とか言ってよ!」
僕は精一杯、牙をむき出しにして威嚇した。しかし、目の前の少年は何も反応しようとしない。
「何も言わないんなら、僕は帰るよ!」
業を煮やした僕はネットから強制切断しようとする。強制切断すると頭がふらふらするので、あまりやりたくないけれど、仕方ない。僕はコマンドを送信した。
〈エラー:コマンドを実行する権限がありません。コマンドは拒否されました〉
僕の目の前に、赤い文字が浮かび上がる。
「えっ……どうして……」
僕は何度もコマンドを送信した。目の前が赤い文字でいっぱいになる。こんなこと、今まで体験したことない。じわじわと恐怖が押し寄せてくる。
(なんで? なんで! もしかして、ワームのせい?)
少年をキッと睨む。握り締めた手は脂汗でぐっしょり濡れている。
「これって、君のせい? 何でこんなことするの!」
そのとき、少年がようやく口を開いた。
「僕の噂聞いてるんなら、この後どうなるか知ってるでしょ?」
目の前の少年が冷たい笑みを浮かべた。まるで、死神のようだ。背筋が凍りつく。僕はネットで仕入れた噂を必死に思い返す。確か、夢喰いワームに出会った子供は、自分の夢を食べられてしまい、現実世界に戻ったときに絶望して死んでしまうって話だったと思う。それとも、仮想現実から出られなくなって、餓死するんだっけ? 何れにしても、無事には帰れなかったはずだ。
日頃、死にたいと思うことはあっても、その時が目の前に迫っていると怖い。
(いっ、いやだ! まだ、死にたくない!)
僕はパニックになって、駆け出した。コイツから、一刻も早く離れないと。
――ドサッ! ズズッ!
足がもつれて頭から転んでしまう。
「嫌! 助けて! 僕、何もしてないのに!」
もがいて少しでも逃げようとするが、恐怖で体が強張って上手く動けない。そのとき、耳に吐息を感じた。
(もう……だめだ……僕、殺されちゃうの?)
僕が死を覚悟したとき、いたずらっ子のような声が聞こえる。
「あれ、全部嘘だよ」
「へっ? う……そ?」
間抜けな声が出る。まだ心臓がどきどきしている。
「そう。あの噂、真っ赤な嘘。僕は人を殺したりしないよ」
急に優しくなる少年の声。
(僕、助かったの?)
安堵感に包まれると共に、怒りと疑問がわいてくる。
「じゃあ、なんでこんなことしたの? 理由があるなら、早く言ってよ!」
僕が続けて何か言おうとしたとき、柔らかい唇に塞がれた。口の中にざらざらとした舌が侵入してくる。僕は両手で少年を突き飛ばす。
「いっ、いきなり、なにするの!」
はあはあと肩で息をする僕を尻目に、少年が口を開く。
「だって、君が理由を聞いたからさ。理由はこれをするためだよ。さっきは怖がらせちゃって、ゴメンね」
少年が僕の目に浮かんだ涙を指で掬い、ぺろりと舐めた。
「でも……これって、キス……でしょ? 男同士でするもんじゃないよね?」
戸惑う僕を再び少年が抱きしめ、唇を塞いでくる。僕は何とか抵抗しようとするが、体に力が入らない。まるで、脳と手足がつながってないようだ。少年のざらざらとした舌が僕の口の中を這い、歯茎の裏や犬歯の付け根が嘗め回される。舌を絡め取られ、唾液を流し込まれたとき、唐突に過去の記憶がフラッシュバックする。
「あなた! この子どうかしてよ! 全く、鬱陶しくてしかたないわ」
「どうかしてって、お前が勝手に産んだんだろ。自分でどうにかしろよ!」
「私だって、好きで産んだんじゃないわよ!」
「大体、お前が子供できたって言うから、あの女と別れたんだぞ!」
飛び交う罵声。小さな僕は一人黙って押入れに隠れる。
(僕は必要ない子なんだ……)
暗い押入れの中で、一人静かに泣き続ける。
(お母さん、お父さん。産まれてきて、ゴメンね……)
気がつくと、僕は少年に押し倒されていた。
「そう、これが君を閉じ込めた理由。今までとっても辛かったでしょ? 僕が癒してあげるから。さあ、力を抜いて」
少年が僕の服を脱がそうとする。僕はその手を掴み、頭を左右に振る。
「嫌、なの? 恥ずかしがらなくても、大丈夫だよ。ほら、僕も脱ぐからさ」
そう言うと、少年はするすると服を脱ぎ始めた。艶やかな黒い毛に覆われた綺麗な体があらわになる。無駄な贅肉のついていない、良く引き締まったスマートなラインが僕の目に飛び込んでくる。それに、立派にそそり立った牡。先端はテラテラと艶かしく光っている。尻尾が僕を誘うように揺れる。
僕の体が意思と関係なく反応した。あそこが苦しい。なんで僕、男の子の裸見て、興奮してるんだろう?
「ほら、一緒に脱ご」
今度はあっという間に服を脱がされた。少年の目が露になった僕のからだを見下ろす。
「君の体、綺麗だね。ねえ、これからユウって呼んでもいい?」
僕は何かに操られるかのように頷いた。
「ありがとう。じゃあ、ぼくのことはヤミって呼んでよ」
ヤミの視線が僕の体を嘗め回す。嫌なはずなのに……体が勝手に熱くなる。
「ユウの……もうこんなになってるね。もしかして、僕の裸で興奮してくれたの?」
ヤミの手が僕の敏感なところに触れる。
「ふぁっ!」
僕は自分の口から出た声に驚き、手で塞いだ。まるで自分の体じゃないみたいだ。
「大丈夫だよ。ここには、だあれもいないから。僕とユウの二人っきりだよ……」
そういうとヤミは僕の体へ覆いかぶさり、しっかりと抱きしめてくる。少し重いけど、柔らかくて、とても暖かい。お腹にはヤミの硬くなった竿が当たり、ドクドクと熱く脈打っているのを感じる。ヤミも僕のを感じているのかな? いつの間にか僕は抵抗するのを止めていた。
ヤミが上半身を起こして手を伸ばし、僕の胸を弄る。
「きゃうっ!」
奇妙な感覚に僕は驚いた。それは、こそばゆいのとはまた違った感覚。胸を触られて感じるなんて……。僕、男の子だよね?
戸惑う僕をヤミが全部分かっているよという目で見つめる。
「ふふっ、じゃあ、ここはどう?」
ヤミが膝を僕の股の間にねじ込み、尻尾の付け根をマッサージしはじめる。内腿をヤミの柔らかい毛皮が撫でる。もっと……もっと、触って欲しい。胸が、とても切ない。僕の口から吐息が漏れた。
「んふぅ……。何で? 僕の体、なんかおかしいよ……」
ヤミがゆっくりと僕の背中に手を回す。僕は誘われるように、顔をヤミの胸に埋めた。ヤミの匂いがする。甘い香りの奥にかすかに汗の匂いを感じ、僕は凄く興奮する。やっぱり、何かがおかしい。でも、全然嫌じゃない。むしろ……なんだか嬉しい。ヤミが優しく僕に語り掛ける。
「忘れたの? 僕はワームだよ。ユウの心の中に入らせてもらったから。もう、ユウの気持ちは僕のもの。僕の気持ちはユウのものだよ……」
「……じゃあ、ヤミも僕を見て、興奮してくれてるの?」
「うん。もちろんだよ。ユウって、とっても可愛いもの」
僕が、可愛い? そんなこと言われるの、初めてだ。心の中にあったかいものが広がる。もう、我慢できない。ヤミにもっと気持ちよくさせて欲しい。
「ヤミ、もっと僕を触って! 僕の気持ち、分かってるんでしょ?」
僕は叫んだ。ヤミが続きをやってくれるのを待つ。ヤミも僕を求めているのを感じる。それなのに、ヤミは何もしてくれない。なんで?
「ユウ、辛い記憶を吐き出して。そうすれば、僕がもっと気持ちよくさせてあげるから。さあ、勇気を出して」
ヤミはそう言うと、僕の顔を両手で掴んで無理矢理キスをする。僕の頭に再び過去の記憶が蘇る。ヤミの口が離れた後、僕はポツリポツリとつぶやき始めた。
「僕のお母さん、僕を要らない子って言うんだ。お父さんは見てもくれない……。僕はとてもお腹が減ってたけど、お母さん達の邪魔するのが嫌だったから、ずっと押入れの中に隠れていたんだ……」
ヤミの手のひらが僕のお腹を撫でる。
「その後、僕は寝ちゃったのかな? それとも、もう死にそうだったのかも……。気が付くと、おばさんの家に住むことになっていた。おばさんは、優しくしてくれたけど、やっぱり迷惑かけちゃってたのかな? 夜中に、なんで僕を世話してやらないといけないんだって言ってたよ……」
僕の尻尾とヤミの尻尾が絡み合う。
「僕、家出しちゃった。もっと、迷惑かけちゃうって分かってたのに……。こんな奴、誰も面倒見たくないよね? 自分でもそう思うよ。だから、施設に預けられて良かったんだ。学校でもそうだよ。僕なんかと仲良くならないほうが良いんだ……」
ヤミの顔が歪んで見える。何でいまさら涙が出るの? これで無事解決なのに……。
「ひっく……ヤミ、僕、ずっとさびしかったんだよぉ! うわぁぁぁぁん」
僕は泣き叫ぶ。力の限り泣き叫んで、自分の気持ちをめいいっぱい吐き出す。
「ずっと一人で、寂しかったんだ! ホントはもっと、みんなと仲良くしたいよ! でも、僕は一人のほうが良いんだ……。んっ!」
ヤミの唇が三度僕の口を塞ぐ。ヤミの気持ちが僕に流れ込んできた。その気持ちは清流のように透き通っていて、春の日差しのようにあったかくて、僕の心を洗い流そうとする。
「今まで、辛かったんだね、ユウ」
ヤミが涙でぐしょぐしょになった僕の顔を綺麗にしてくれる。ヤミの手が、胸を触り、お腹を触り、さらに下の方へ向かう。
「ヤミ、早く!」
でも、ヤミの手は僕の期待とは裏腹に、一番触って欲しいところを通り過ぎて足へと向かう。
「ヤミぃ」
自分でも驚くほどいやらしい声でヤミを呼ぶ。
「そんなに急がなくても、ちゃんとあげるから」
僕が吐き出した粘液に濡れる股間を、ヤミがゆっくりと撫でる。僕がさらに求めようとしたとき、僕の昂ぶりが優しく包まれる。
「ああっ!」
ようやく与えられたご褒美に、僕は大きく口を開けて歓喜の声を上げた。その声に答えるように、ヤミが僕の猛りを扱きあげる。
「あ……ああっ……」
「ユウ、ちんちん、気持ちいいんだね。ほら、こんなにぬるぬるしてる」
ヤミが握った手を広げ、僕の目の前に持ってくる。ヤミが粘液に濡れた手をゆっくりと開け閉めする。
――ニチュ、ニチュ
いやらしい音と共に漂ってくるかすかな雄の匂い。
(僕、すっごく感じてる……)
僕が恍惚の笑みを浮かべて眺めていると、ヤミが糸を張る指を丹念に舐め取る。
「ユウのしょっぱくて、やらしい匂いがして、凄く美味しい……もう我慢できないや」
そう言うと、ヤミは僕の股間に顔を埋めた。長く伸びたヒゲが内腿を刺激し、ちくちくする。ざらざらとした感触が内股を這い上がってきたかと思うと、僕の袋が暖かい粘膜に包まれた。ヤミの舌が僕の大切な塊をころころと転がすたび、痛みにも似た刺激が背筋を走り、毛が逆立つ。
「あふぅ……ヤミっ! そこ、嫌だよぉ」
願いは聞き入れられず、鈍痛がなおも僕を襲う。しばらくすると鈍い痛みがじわじわと快感へと変わってくる。
「ユウ、何が嫌なの? こんなに感じてるのに?」
ヤミが垂れてきた先走りと共に、裏筋をぺろりと舐める。空いた手は僕の尻尾を扱き始めた。
「ああっ……ヤミ、分かってるでしょ」
僕は意地悪をするヤミの手首を尻尾で叩く。
「ふふっ。ごめん、ユウ。あまりにも可愛かったから、つい苛めたくなっちゃった。ぼら、ご褒美上げるから、許して」
――カプッ
僕の先端に熱い息がかかり、柔らかい粘膜に包まれた。
「うあぁ! はあぁ、はあぁ……すごいっ」
ヤミのざらざらが僕の皮の中に入り込み、あまり刺激に慣れていない雁の裏側を容赦なく攻め立てる。
「あ……ああっ……ぐぅっ!」
――ビクンッ
僕の尻尾がぴんと天を指す。ヤミの舌の動きに合わせるかのように先走りが次々と這い上がってくるのが分かる。いままで焦らされた分、その反動が跳ね返ってくるようだ。僕のモノは限界まで張り詰める。
「ユウ、ここがいいの? どんどん出てくるよ、いやらしいお汁。ユウってほんとにえっちだね」
ヤミがわざとらしく僕の分泌物を口元から溢した。足元を見ると、ヤミの矛先から垂れた汁が僕の太ももの毛をぐしょぐしょに濡らしていた。
「んっ……でも、ヤミも僕にお漏らししてる……ヤミのほうがえっちだよ……」
「そうだよ。僕はえっちだよ。ユウと同じくらいね」
ヤミが僕のものを奥まで銜え込んだ。敏感な粘膜と粘膜が触れ合い、頭が快楽の渦に飲み込まれる。僕は体をいっぱいに仰け反らせ、ヤミの奥へと自分の剛直を押し込む。
「んっ、んぐっ!」
ヤミの曇った声に驚いて、僕は腰を引いた。
「ごめん。苦しかった?」
「んはぁ……僕のことなら、心配要らないよ。ユウの好きにしていいから。もう、謝るのはやめて」
ヤミは涎を垂らし、上目遣いで僕を見る。その目を見た次の瞬間、僕はヤミの頭を掴んで、腰を突き出していた。
「ヤミの中、気持ちいいよぉ」
僕は夢中でヤミの粘膜を貪った。
「ああ……もっと、もっと……」
ヤミをもっと味わおうと、腰を突き出し、掴んだ頭を上下させる。
「んふっ……んふっ……」
自分の股間では、ヤミが鼻で息をしながら僕の猛りを献身的に銜え込んでいる。口からはだらだらと涎をたらし、吐き気を懸命にこらえているようだ。すごく苦しいはずなのに、ヤミの目は快感にとろけ、股間を僕の足に擦り付けている。
(ああ……ヤミがこんなにも僕のことを……)
僕は、今まで押さえ込んでいたものが一気に噴出すのを感じた。理性は完全に吹き飛び、原始的な欲求があふれ出す。僕はまるで物を扱うように、ヤミの頭を上下させた。
「ヤミ、ヤミ! もっと奥まで!」
――グチュ、グチュ
僕の強張りがヤミの口を出入りするたびに、粘着質の音を立てる。時々、唇と歯茎の間に敏感な先端を擦りつけ、硬い歯で自分の強張りを強く刺激する。そうやって、ヤミの口を味わっていると、体の奥から熱いものが湧き上がってきた。体全体がぶるぶると震える。
「ああっ! ヤミ、ぼく……出ちゃう!」
僕は本能の赴くままに、剛直を喉の奥まで思いっきり突っ込む。ヤミも僕の足を股できゅっと挟んで答えてくれる。自分の股間にヤミの頭を力の限り押し付けたとき、尿道を熱い塊が一気に這い上がってくるのを感じた。
――ビュルル、ビュ! ドピュドピュッ!
僕はヤミの奥で欲望を弾けさせた。頭の中が光でいっぱいになり、全身の力が抜ける。
「はぁ、はぁ……」
僕の腕がヤミの耳を撫でて、地面に落ちた。
「グェッ、ゲホッ、ゲホッ!」
僕の腕から開放されたヤミが激しく咳き込み、僕の精液を吐き出す。
「ヤ……ミ……」
僕が鉛のように重くなった体を起こして、口を開こうとしたとき、ヤミが飛び掛ってきた。僕は抵抗できずに押し倒され、ヤミが僕の上に馬乗りになる。
「ゲホッ! もう……謝らないでって……言ったでしょ……」
ヤミの唾液と僕の精液の混合物がトロリと垂れ、僕の口に入る。ちょっと苦い。
僕はふと足に違和感を感じた。手で触ってみると、毛がぐっちょりと粘液に濡れている。まだ、あったかい。
「ヤミも……イッたの?」
肩で息をしながらヤミがこくりと頷く。ヤミがとても愛おしい。
「はぁ、はぁ……ユウが、いっぱい吐き出してくれたから……」
僕達は尻尾を絡め合わせて、もう一度抱き合った。
「ねえ、気分はどう?」
ヤミが目を見つめる。僕は、首をかしげた。何かとても苦しかったような気がするけど、思い出せない。記憶を辿ろうとしても、途中で道がなくなっている。そう、これはまるでヤミに出会ったときのようだ。
「ふふっ。良かった。上手くいったみたいだね」
「へ? 何のこと?」
僕は、いたずらに成功した子供のようににんまりと笑うヤミの顔を呆然と眺めた。
「ううん。なんでもない。ユウは、まだしたい?」
したいって……やっぱりアレのことかな? 僕は小さく頭を立てに振る。
「いい仔だね、ユウは」
ヤミが僕の耳をくしゃくしゃにしながら、頭を撫でてくれる。
「じゃあ、僕の言うこと、聞いてくれるよね? ほら、足を開いて。また、気持ちよくさせてあげるから」
僕はゆっくりと足を左右に広げる。さっき達したばかりだというのに、もう硬さを取り戻しているアソコが恥ずかしい。僕は伏目がちにヤミに尋ねる。
「これくらいで、いい?」
「だーめ。もっと、恥ずかしいところを僕に見せて」
さらに足を広げた。自分の格好を想像すると、顔から火が出そうになる。
「こらっ! 尻尾で隠しちゃ駄目。そんなことしたら、もうやめちゃうよ?」
「ヤミのいじわる……」
仕方なく、僕は尻尾をどける。
「うん。これでユウの恥ずかしい穴が良く見えるよ。ねえ、これから何するか分かる?」
ヤミの額が僕の額に押し付けられると、ヤミの考えることがぼんやりと浮かんできた。僕、これからこんなことされちゃうの? 我慢、できるかな?
「えっちなユウには無理かもね。じゃあ、ユウのお露、ちょっともらうよ」
ヤミが僕のミルクをすくい上げ、恥ずかしい穴に指を当てる。
「まっ、待って! ヤミ!」
「だーめ」
指が一気に推し進められる。
――ニュプッ!
僕の窄まりがヤミの指を飲み込む。今までは出すばっかりだった器官に、逆に挿し込まれる奇妙な感覚。僕はぴくんと跳ねた。
(入っちゃった……)
ヤミがくにくにと入り口を刺激する。腸内に与えられるぴりぴりとしたその感覚がいまにも快感に変わりそうになり、僕は首を横に振る。
「やっ、やめて、ヤミ。そんなとこ、汚いよぉ」
そんな些細な抵抗も、ヤミが指をゆっくりと抜き差しし始めるとすっかり無駄になってしまった。
「ひゃあ!」
自分の意思とは無関係に、僕のお尻が指をむさぼる。挿し込まれるときは、侵入者を防ぐようにきゅっと窄まり、しびれるような快感を僕の脳に伝える。抜かれるときは、排泄する本来の喜びを伝えてくる。
僕が悶えていると、ヤミの声が聞こえた。
「ねえ、ユウ。彼らが君にありがとうって言ってるよ。僕達を生み出してくれて、ありがとうって」
どうしたの、ヤミ? 突然、何を言い出すの?
僕の疑問を打ち消すように、ヤミは指を増やす。二本の指が交互に僕を攻める。
「みんな、君のことが好きだって言ってるよ……」
ヤミの指と一緒に、〝好き〟という感情がダイレクトに僕の中に入ってくる。体に与えられる感覚と心に与えられる感覚がごちゃ混ぜになって、僕の頭をぐるぐるとかき混ぜる。
「どう、ユウ? 気持ちいい?」
「あうぅ……僕、おかしくなっちゃう……」
「もっと、おかしくなったユウを僕に見せて。三本目……行くよ」
さらに指が一本増える。僕の窄まりは抵抗なく指を飲み込む。
――クチュ、クチュ、ニュポッ
ヤミが指をぎゅっと押し込み、一気に抜く。お尻が、熱い。
「あふっ! はぁ、はぁ……」
今まで僕の中に入っていた指を見ると、腸液でぐちゃぐちゃに濡れていた。もわっとした恥ずかしい匂いがここまで漂ってきそうだ。
「もうすっかり、柔らかくなってるね。ユウのここ」
ヤミが指を根元まで押し込む。
「んっ……んふぅ」
僕は息を吐いてそれを全部飲み込んだ。ヤミはそれを褒めるかのように雄根の裏側をこりこりと刺激する。
――ピュッ、ピュピュッ!
「きゃうっ!」
軽くイッた感覚と共に、僕の硬直が透明な体液を撒き散した。
「ふふっ、男の子なのにお潮吹いちゃうなんて、すごくえっちなんだから」
「そんなこと……ない……」
快感に頭がくらくらする。言葉とは裏腹に、僕のお尻が勝手にヤミの指を締め付ける。
「これでも、えっちじゃないって言えるの? こんなに物ほしそうにしてるのに」
ヤミが四本の指で入り口を掴み、ゆっくりと広げる。
――クチュ、ニチャア
僕のソコが大きく広げられる。ぽっかりと口をあけたソコに冷たい空気が入ってくる。ヤミに恥ずかしい穴を奥まで見られてしまった……。僕はぼおっとした頭で思った。
さらにヤミは、広がったソコに顔を近づけてくる。敏感な粘膜に、熱い空気を吐き出す別の粘膜が触れる。その正体に気が付いた僕はヤミに懇願する。
「いやっ! そんなとこ……嗅がないでよ、ヤミ。恥ずかしいよぉ」
ヤミがくんくんと鼻をひくつかせるのを感じた。
「やっぱり。思った通り、ユウのはいやらしい匂いがする。こんなにヒクヒクさせちゃって、ホントは何が欲しいの?」
(ヤミの……ヤミの熱いのが欲しい)
心の中でつぶやく。ヤミは、それじゃあ駄目だよとでも言うように、僕のお尻から指を離した。
「これ、しゃぶって」
ヤミが立ち上がり、尻尾を僕の口へと近づける。毛に覆われた尻尾をくちゅくちゅと租借したヤミって、こんな味がするんだ。
「はい、良くできました。これ、ご褒美ね」
――ジュプ
ヤミが尻尾を僕のお尻に突き刺す。細身の尻尾が何の抵抗もなく僕の中に入ってくる。僕は快感を少しでも搾り取ろうと体内を進むそれを締め上げる。
(足りない……こんなのじゃ、物足りないよぉ)
僕はヤミに目で訴える。
「どうしたの、ユウ? ちゃんと言わないと、僕、分かんないよ」
ヤミが意地悪い笑みを浮かべる。もう、駄目だ……。僕は陥落した。
「ヤミ……ヤミが欲しいよぉ……僕、もう我慢できないの。ヤミの熱いおちんちんが欲しいよぉ」
「やっと言えたね。ユウ」
夢にまで見たヤミの雄が僕の顔に近づけられる。僕は思いっきり鼻で空気を吸い込み、ヤミの匂いを確かめた。
(えっちな匂い……僕と一緒だ……)
腹をすかした雛のように、僕はそれにむしゃぶりついた。一心不乱に舌を動かし、ヤミの感触を、味を、匂いを味わう。
「むぐっ! ぷはぁ……。ヤミの美味しいよぉ」
その全てを記憶に刻み込むように、しっかりと。
僕が夢中で舌を動かしていると、ヤミが足を震わせた。
「あ……ユウ、気持ちいいよ。すぐ出ちゃいそうだ」
ヤミの竿がぴくんと脈打つのを感じて、僕は慌てて口から離す。
「駄目っ! まだ待ってよ、ヤミ。僕、こっちが良いの!」
僕は恥ずかしげもなく自分の穴に指を突っ込む。
――グチュ、グチュ
ワザといやらしい音を立てた。足を思いっきり広げ、ヤミにおねだりする。
「ふふ、嘘だよ、ユウ。すぐ騙されるんだから。それにしても、ようやく素直になったみたいだね。とってもいやらしいよ、ユウ」
ヤミの熱い幹が僕のえっちな穴に触れる。ついに、待ちに待ったその瞬間が訪れる。
――ジュプッ! ズズッ!
「はうっ! ああっ、ヤミが……ヤミのが入ってくるぅ!」
僕は歓喜の声を上げた。口と目をめいいっぱい開き、尻尾をクネクネと動かし、足を小刻みに震わせて、全身で喜びを表現する。
「ユウの中、柔らかくて、すごくあったかい……」
ヤミが僕の体内をじわじわと突き進む。僕の窄まりはゆっくりと口を広げ、自分のモノより一回り大きなそれをゆっくり飲み込んでゆく。
「太いよぉ……ヤミっ! 僕の、広がっちゃうぅぅ。あっ! 奥の方まで届いてるよぉ」
だらしなくよだれを垂らしながら、ヤミの全てを受け入れたことを報告する。腸内を犯される感触に、僕はすっかり酔っていた。
「それに、僕のを一生懸命締めてくる。とっても……気持ちいいよ、ユウ」
「ヤミぃ、僕のお腹の中……ヤミでいっぱいで、気持ちいいよぉ。もっと、もっと僕をぐちゃぐちゃにしてぇ」
僕は幸せのあまり、目に涙を浮かべる。ヤミに犯しつくして欲しい……。僕の全てを支配して欲しい……。ヤミはその僕に答えるように宣言する。
「じゃあ、動くね」
――パンッ、パンッ! グチュッ、グチュッ!
「あんっ、ああっ……んぁっ!」
僕は突かれるたびに喘ぎ声を漏らす。
ヤミが僕の股間を激しく叩き、二人の体液が交じり合った汁を撒き散らす。僕の硬直はだらだらと涎を垂らし、お腹を濡らす。
「はっ……はっ……そんな、女の子みたいに鳴いちゃって……。すっごく可愛い、ユウ」
「だっ……て、ヤミが……激しくするから……んんっ!」
僕達はしっかりと抱き合ったまま、ひたすらお互いの体を貪りあう。
僕がお尻をきゅっと窄めて、ヤミに合図を送る。するとヤミは、一気に硬直を引き抜いて答える。僕は内臓が引きずり出されるかのようなその感覚に体を震わせる。
僕が両手を広げてキスを求めると、ヤミは素知らぬ振りをして僕の胸の突起を摘む。すると僕は、悲鳴にも似た声を上げてヤミを喜ばす。
次はヤミが腰を大きく回して僕の中を抉る。熱い槍が僕の肉の壁をかき回し、僕は恍惚の笑みを浮かべる。
絶えることのない快楽の連続。僕達はすっかり蕩け切っていた。
「ユウ、どう?」
「はぁ、はぁ……だめ……。気持ちよすぎて、なんだか怖いよぉ」
「うはぁ……キツイ……。ユウだめ、そんなに締付けちゃ……。なんで……怖いの?」
「ぼく、ヤミと離れるのが……怖い……。ヤミ、お願いだから、どこにも行かないで」
僕は急に不安になって、ヤミにしがみ付いた。しっかりと引き止めるように、繋がったままのお尻をきゅっと締める。
「んはっ! ユウ、心配しないで……。僕達はずっと一緒だから……。ユウに僕をいっぱい注ぎ込んであげるから……」
「ちょうだい……ヤミを、いっぱいちょうだい!」
ヤミが再び腰を前後に動かす。
「はっ、はっ、僕も……ずっと怖かったんだ……」
「んあっ! あんっ! ああんっ!」
ヤミの言葉が心に流れ込むのを感じる。
(そう、僕達はあっと言う間に消されちゃうのが怖かった……。仲間が次々と消えていくのがすっごく寂しかった……。そんなとき、彼らを見つけたんだ……。彼らの生みの親は全てに絶望していて、今にも消えちゃいそうだった……。彼らはその人をめいいっぱい愛していた……。でも、その人は気付いてくれない……。その人がもし消えちゃえば、彼らは寂しくて生きていけないのに……。だから僕は、その人を助けることにしたんだ……。その人の希望の光が消えちゃわないように……)
そのとき僕は、自分の間違いにようやく気が付いた。
(そっか……僕にはあの子達がいたんだね……。一人ぼっちなんかじゃ全然なかった……。ゴメンね……。今まで気付いてあげられなくて……。僕はもう大丈夫……。あの子達の思いにようやく気付いたし……)
「それに、今はヤミがいてくれる!」
――パンッパンッパンッ! パンッパンッパンッ!
ヤミが一気に動きを早めた。お尻が激しく打ち据えられる。ヤミの槍が僕の体内を深く抉り、奥まで強く打ち込まれる。
「んあっ! あっ! あっ! ああああああああああっ」
僕は叫び声を上げてその全てを受け入れる。
「ユウ! イクよ! 僕を受け取って!」
「来て! ヤミぃ! あっ、ああっ! ヤミ、ヤミぃぃぃっ! 」
僕はヤミ全体を締め上げた。ヤミの子種を一滴も溢さないように。
お腹の中に、生命の種子がはじけ飛ぶ。僕は感謝の悲鳴を上げながら、心が侵食されるのを感じた。自分とは異なる、別の存在が入ってくる。何時も僕と一緒にいてくれる特別な存在。限界まで張り詰めた自分の剛直からドクドクと熱い塊が流れ出すのを感じる。僕の意識は闇の底へと落ちて行った。
ひんやりとした風に撫でられ、僕は目を覚ます。周囲には誰もいない。全身が、だるい。
(夢、だったのかな? 仮想空間で夢だなんて、変だけど)
しかし僕は、自分の姿を確認して思い直す。全身の毛にはべっとりとした粘液がへばり付き、強烈な性臭を放っている。お尻の穴もまだ閉じきっていないようで、粘り気のある液体がとろとろと流れ出すのを感じた。
「んっ!」
――ブジュッ、ブブッ!
お腹に力を入れると、空気の混じった精液があふれる。
(夢じゃ、なかったんだ……)
僕は下腹部に手を当てて、深呼吸した。胸にやさしい存在を感じる。
(良かった。僕の中にいてくれるんだね、ヤミ。ずっと、一緒だよ)
僕は泉で体をきれいにして、あの子達を世話するために小屋へ向かう。
(それにしても、何で僕はあんなに悩んでいたのかな?)
ふとした疑問が頭に浮かぶ。でも、飛び掛ってくる子供たちを見て、そんなことはどうでも良くなる。僕とヤミの大切な子供たち。
「あははっ! そんなに急がなくても、いっぱい遊んであげるから!」
僕は今まで誰にも見せたことのない、とびっきりの笑顔を振りまいた。
現実に絶望し、仮想空間に熱を上げる少年。
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